山門

三門

正行寺は正面三門、奥に本堂、右に鐘楼の伽藍配置を進めております
平成21年(2009)5月より三門の建設に着手し平成22年11月中旬の完成。
三門は本堂との調和を念頭に建築しております。
欅材と檜材を用い、屋根の勾配は本堂と同じ矩勾配である。箕甲巻上による銅版葺き、下見板も本堂と同様なデザインを採用しています。


若き宮大工 武田さん 三門工事と「格闘」

今回の三門新築工事では釧路出身の若き宮大工が活躍している。
郷里を離れて8年余りこれまで培ってきた技能を駆使しながら、重要文化財に指定されている本堂の建築様式を取り入れるという「難工事」に挑んでいる。
2009年まで行われた本堂改修を担当した建築業「株式会社アイチケン」(愛知県江南市)に勤める武田学さん。
今秋完成予定の三門新築工事では棟梁を補佐する脇棟梁として活躍している。
武田さんは釧路工業の出身で同社が担当した釧路市内の寺院新築工事を見学し、宮大工の魅力に目覚め同社に入社。
入社後は全国各地の寺院の工事を転々としながら技能を磨いてきた。
今回の木村英彦棟梁は武田さんを「性格が素直で仕事が丁寧、これからも伸びていく人材」と高い評価をされています。
今回の工事を終えた後、生涯の伴侶を得る武田さん。
「一人の時とこれかからは違う。まだまだ宮大工としての知識と経験の足りないことを自覚しながら、日々勉強を重ねて行きたい」とのこと。

住職朝日芳史氏は株式会社アイチケンの本堂修復での高い評価が三門新築工事へとつながっています。
本堂修復が取り持った縁、北海道は宮大工が少ない中、地元出身の武田さんが担当してくれた事を嬉しく思います。
今後の活躍を大いに期待しています。

2010年9月4日の北海道新聞に掲載された「釧路出身 若き宮大工・武田さん 正行寺正門工事と格闘」より一部抜粋


寺の三門 解説

寺の門は山門とは書かない。三門と書くのは、門が三つあるから三門という。
御本山(東本願寺)も横に一つ、二つ、三つある。
門が縦に並んでいるのが本当の三門で、御本山では三つ入口をこしらえて三つの門だと一応こういう格好で表してある。
それはどういうことかと云うと、三つの門をくぐってはじめて仏の世界に入るという。
まず、空の門をくぐり、次に無相の門をくぐり、そして無願の門をくぐって解脱する。
これを三解脱門という。
解脱というのは、わかりやすく言えば助かるということで、人間が本当に助かるには、人間の分別を破るその為には、この三つの門をくぐらなければならない。
そこで、空の門をくぐるということは、我々の分別を空ずる事である。
分別はまたの名を取捨の願という、取捨の願を支えているものは相である。
無相の門をくぐるというのは都合のいいように見える相がある、都合の悪いように見える相がある。
そうすると、その上に取捨の願が起こってくる。本当はそんなものはないのです。
分別が消えれば、良い相も悪い相も消え、そのままが無相です。あるがまま、それが実相なのです。
次に無願の門をくぐるという事ですが、無相によって良いも悪いもないのですから、取るべき願いも消え、捨てるべき願いも消えて、そのまま受け入れるところの無願に到達してそこではじめて解脱を得ることができる。
三門の建物の構造は元はこの考えから来ています。教学的構造です。

仲野良俊先生の講義より抜粋


至宝の門柱 オンコ

オンコ(イチイ)の門柱は高さ6メートル直径60センチ。
昭和初期に北海道林務署管内糸魚沢より伐採されたものである。
大正期に最初の門柱を見出してから二本目の門柱を探し当てるまで十数年を要している。
非常に入手困難で当時に於いても至宝と言われた門柱である。
当時正行寺総代で造林業を営んでいた加藤清助氏により発願、寄附されたものである。
80年近く北の風雨にさらされ根本部分の腐食が進んでいたが、三門の新設工事に伴い修復し横の門へ移設された。