世界遺産 アジャンタ(Ajanta)とエローラ(Ellora)
インド赴任中に一度は訪れたいと思っていたアジャンタ、エローラに行って来ました。
これらは共にマハーラシュトラ州のデカン高原にあり1983年世界遺産に指定されています。
アジャンタとエローラは50㎞も離れていない場所にあります。
私はバンガロールからムンバイ経由でアウランガバッドに入りそこを拠点に行動しました。
アウランガバッドを拠点にするのは一般的なルートのようです。
アジャンタは壁画がエローラは石窟寺院が有名ですが、私が興味を持ったのは両方とも仏教遺跡が多く残っていることです。
マハーラシュトラ州はヒンディー教徒だけでなく、仏教も盛んで現在でもインド全体の9割の仏教徒がこの州にいると言われています。
またジャイナ教徒も多くインド全体の4割がいると言われています。
アジャンタ(Ajanta)
アウランガバッドから北東へ約100㎞のワグラー渓谷の断崖中腹にアジャンタ石窟はあります。
石窟は仏教僧の修行の場所として作られたとの事ですが、なぜこんな山の中の険しい所にこのような石窟があるのだろうかと思ってしまいます。
石窟は大きく二つの時代に作られています。
紀元前1世紀頃の上座部仏教期と紀元5世紀頃の大乗仏教期のふたつである。
上座部仏教期の石窟は装飾も少なくとてもシンプルな作りです。
一方、大乗仏教期の石窟はグプタ美術の美しい壁画が数多く残っています。
大乗仏教期の第一窟の仏陀の左右に描かれた蓮華手菩薩と金剛手菩薩が特に有名です。
蓮華手菩薩は奈良法隆寺金堂の観音菩薩のルーツと言われています。
私はこれらが見たくてアジャンタに来ましたが、期待にたがわず素晴らしい壁画でした。
窟内部はフラッシュの使用が禁止されており、暗い窟内の撮影でしたが自分なりに良い写真が撮れました。
アジャンタの不思議
アジャンタは上部座仏教期の紀元2世紀頃一度人々から忘れられました。
その後大乗仏教期に開窟が再開されますが、紀元7世紀頃突然石工職人や仏教僧がアジャンタから消えたと言われています。
やがてアジャンタはジャングルに覆われ、1819年に虎刈りに来ていたチェンナイ駐屯のイギリス騎兵隊士官ジョン・スミスによって偶然発見されるまで1000年以上も人々から忘れ去られてしまったのです。