正行寺本堂 国指定重要文化財
[正行寺本堂]
正行寺現本堂は、新潟県西頸城郡西海村平牛に寛政11年(1799)建立された浄土真宗本願寺派寺院の本堂を、縁あって明治42年購入、解体し汽船により輸送、同43年(1910)部分的改造を加え、現在地に正行寺本堂として移築、同44年(1911)再建落慶法要を執り行われております。
工費は全額檀徒の寄附金でまかなわれ、資材・労力も出来得る限り檀徒の寄進・労力奉仕により、工事は地元菅原忠太郎の請負でした。
本堂は、正面18,3メートル側面21メートルで、正面に向拝1間、木階を設け、内部は内陣・余間・外陣・参詣間・御簾間・帳場を有し、内陣・縁は板敷で、それ以外は畳敷です。天井は内陣・余間・外陣・参詣間は格天井とし特に内陣は十六弁菊花が描かれ、外陣正面唐狭間(欄間)七枚は牡丹の透彫で内陣3枚は彩色をし、井とし特に内陣は十六弁菊花が描かれ、外陣正面唐狭間(欄間)七枚は牡丹の透彫で内陣3枚は彩色をし、欄間上部の板蟇股には極彩色の天女の彫刻を附し、その他柱・小壁・団扇等内陣・外陣全体に白壇塗・極彩色を施しております。
母屋部は円柱、庇部は角柱を立て円柱頂部は肘木を柱から直接出し三斗組を用い、建物外部の軒下組物は出組造絵様彫刻が施され、肘木には拳鼻を付け、軒廻は二軒平行繁垂木で支輪付であります。
妻飾は虹梁・斗栱・大瓶束・三ツ花懸魚を備え、開口部・外縁にはガラス戸を建てて内縁に取込み、また屋根は裳階付一重入母屋造で当初茅葺、移築時柾葺でしたが現在銅板葺になっています。
総体的に欅の素木造で、向拝部分の手挟の彫刻・余間襖絵は見るべきものがあります。
本堂は移築の際、縁の上に裳階を架け巡らし、建具を入れることによって積雪寒冷から建物をまもるため北海道の気候風土に合わせる等興味深く、移築関係書類もよく残り北海道開拓に伴う建築文化の普及動向を知る上で貴重な存在である。
依田 有康著 「重文 正行寺本堂の建築について」より抜粋