江戸の美術技法「白檀塗り」

厚岸・正行寺に江戸の美術技法 本堂の柱 「白檀塗り」

左から馬場良治氏、山本幸雄氏画像国内最高の技術を持つ美術修復家の馬場良治氏によって修復された、国の指定重要文化財、正行寺本堂(朝日芳史住職)の柱となげし(横柱)の部分に、建立当時に銀箔を金箔に見せる「白檀塗り」が施されていることがこのほど分かった。
馬場氏は「これだけ残っているのは珍しい」と話している。
同本堂は、美術的価値が高く1992年に東北海道で初めて国の重要文化財に指定され、2008年に十勝沖地震で傷んだ部分を修復する工事を実施。
京都の大原三千院や平等院を修復した馬場氏が内陣の復元を担当した。
今回は修復後の状態を確認するため、馬場氏と表具修復を担当した石川県金沢市の歴史的建造物修復士、山本幸雄氏が2日、同寺を訪れた。
馬場氏によると、本堂の柱などに施された「白檀塗り」は銀箔の上に透明度が高く黄色い梨子地漆(なしじうるし)を塗ったもので、遠目には金に見える。「建立当時の寛政時代、金の価値がとても高かったことから多く施工された」(馬場氏)という。
同部分は今回の修復対象とならなかったが「これだけ残っているのは美術的価値がある」と馬場氏は高く評価していた。

2010年8月11日の釧路新聞に掲載された「厚岸・正行寺に江戸の美術技法」より